方程式 x2 = -1 が実数 x について解が存在しないことは誰もが知っている.
しかし, 虚数 i を導入することで方程式は2つの解 x = i , x = -i を持つ.
さらに, 方程式 (x - 3)2 = -4 は二つの複素数の解 x = 3+2i , x = 3-2i を持つ.
x = 3+2i と x = 3-2i は他方の共役複素数と呼ばれる.
a + bi という形の数は複素数と呼ばれる.
一般に, a + bi と a - bi は他方の共役複素数である.
ガウス整数とはaとbがともに整数である複素数 a + bi のことである.
普通の整数はまた, ガウス整数である. (b = 0 のケース)
b ≠ 0 のガウス整数と区別するために, 普通の整数を"有理整数"と呼ぶことにする.
有理整数 n をあるガウス整数で割った結果がガウス整数である場合, そのガウス整数は約数と呼ばれる.
例として, 5 を 1+2i で割ると, 5 / (1 + 2i) は以下のように簡略化できる.
分子と分母に1+2iの共役複素数(1-2i)を掛ける.
結果は,
5 / (1 + 2i) = 5 / (1 + 2i) * (1 - 2i) / (1 - 2i) = (5(1 - 2i)) / (1 - (2i)^2) = (5(1 - 2i)) / (1 - (-4)) = (5(1 - 2i)) / 5 = 1 - 2i
となる.
よって, 1+2i は 5 の約数である.
1+i は 5/(1 + i) = 5/2 - 5/2i なので 5 の約数でないことに注意.
さらに, ガウス整数(a+bi)が有理整数 n の約数ならば, その共役複素数(a-bi)もまた n の約数となることにも注意.
実際, 5 は実部が正となる約数を, {1, 1 + 2i, 1 - 2i, 2 + i, 2 - i, 5}の6個持つ.
以下に最初の5個の正の有理整数の約数の表を示す.
n | 実部が正のガウス整数の約数 | 約数の和 s(n) |
1 | 1 | 1 |
2 | 1, 1+i, 1-i, 2 | 5 |
3 | 1, 3 | 4 |
4 | 1, 1+i, 1-i, 2, 2+2i, 2-2i,4 | 13 |
5 | 1, 1+2i, 1-2i, 2+i, 2-i, 5 | 12 |
正の実部を持つ約数について, Σ n = 15 s(n) = 35 を得る.
1 ≤ n ≤ 105 について, ∑s(n) = 17924657155 となる.
1 ≤ n ≤ 108 について, ∑s(n) を求めよ.